順番を間違えると、努力は消えます。ジムに通っても、服を買い替えても、手応えがない。そういう相談を、僕はいちばん多く受けます。
原因は、やる気でも根性でもありません。手をつける順番と、変化の測り方です。この二つを直すと、同じ努力の量でも結果の見え方が変わります。
ここでは、自分磨きを何から始めるかを、順番の話として書きます。僕自身が運動未経験から始めて、8か月後に体づくりの大会に立つまでにやったこと。そして500名以上の男性を見てきて、共通していた詰まりどころ。その両方から書きます。
自分磨きを何から始めるか。答えは「時間がかかるもの」から

結論から書きます。手をつける順番は、体、顔、装い、振る舞い。理由は一つで、変化が見えるまでの時間が長いものから始めるためです。
体は、変わるのに時間がかかります。筋肉は負荷と回復をくり返して育つので、今日やって明日変わるものではありません。髪も肌も入れ替わりがあるので、手入れの手応えを感じるまでに間があきます。一方で、服は今日買えば今日変わる。話し方も、意識すればその日の会話から変えられます。
だから、時間がかかるほうを先に走らせます。体と顔の手入れを回しながら、その裏で装いと振る舞いに手をつける。逆をやると、待ち時間だけが最後に残ります。
順番の決め方はもう一つあります。やめても戻りにくいものを先に、戻りやすいものを後に。体づくりは、続けた分がしばらく残ります。服はいつでも買えるし、いつでも変えられる。先に手をつけるのは、取り戻すのに時間がかかるほうです。
体と顔を先にすると、服も会話も効きが変わる

服を先に買った人ほど、うまくいきません。理由は、服が体の形をそのまま映すからです。同じ上着でも、背中が丸まっているかどうかで別物に見える。体の状態が変わると、今持っている服の見え方まで変わります。
顔も同じです。髪型は輪郭と生え方で決まる部分が大きい。眉の形も、顔の骨に合わせて整えるほうが自然に収まります。ここが整わないうちに小物や香りに手を出しても、拾ってもらえません。
僕は体と顔を、効かせる段と呼んでいます。効かせるというのは、他の三つの手数の効きを引き上げる、という意味です。体と顔が動き始めると、装いと振る舞いの一手あたりの効きが上がる。順番の意味はここにあります。
僕が運動を始めたのは、体づくりの経験がまったくない状態からでした。大会に立つまで8か月かかっています。その間、時間のほとんどは体に使いました。装いと振る舞いに本腰を入れたのは、そのあとです。順番を守ったというより、体を動かすうちに他が後回しになった。結果的に、それでよかったと思っています。
続かないのは意志ではない。変化を測っていないからです

続かない人の話を聞くと、だいたい同じことを言います。やっているけれど、変わっている気がしない。気がしない、というのが要点です。変わっていないのではなく、変化を確かめる手段を持っていない。
鏡は毎日見るので、差に気づけません。体重計も水分や食事で上下するので、判断を誤ります。僕が使っているのは写真です。
- 同じ場所、同じ明るさ、同じ時間帯で撮る
- 正面と横、この二方向はどちらも入れる
- 服は毎回同じか、体の線が分かるものにする
- 頻度は週に一度。毎日は撮らない
毎日撮ると、差が小さすぎて気持ちが折れます。週に一度なら、ひと月分を並べたときに初めて差が見える。変化は、記録した人にしか見えません。
写真と一緒に、その週にやったことを一行だけ書き残します。寝る時間が短かった週、外食が続いた週。後で見返すと、写真の変化と生活の変化がつながります。
一度に複数を変えない

もう一つの詰まりどころが、同時に変えることです。食事、運動、髪、服、話し方。思い立った日にまとめて手をつける気持ちは分かります。僕も最初はそうでした。
同時に変えると、困ることが二つ起きます。一つは、何が効いたのか分からなくなること。反応が良くなっても、原因を特定できないので次に活かせない。もう一つは、単純に持たないことです。新しい習慣をいくつも同時に始めて、そのまま続いた人を、僕はほとんど見ていません。
決め方は簡単です。今いちばん詰まっている場所を一つだけ選ぶ。それが回り始めて、考えなくてもできるようになってから、次を足す。一つずつのほうが、結局は速い。
すでに努力しているのに変わらないとき、どこを見るか

ここまで読んで、もうやっている、と思った人もいるはずです。週に何度もジムへ行き、服も買い替えている。それでも手応えがない。その場合に僕が最初に見るのは、努力の量ではありません。いちばん効いていない一か所です。
四つの要素で、今の自分を書き出す
これが見極めるという段です。自分の現在地を、四つに分けて書き出します。体、顔、装い、振る舞い。そのうえで、写真と、人からの反応を並べて見ます。
- 体:姿勢はどうか。座っているとき、肩は前に出ていないか
- 顔:髪と眉と肌。手入れの頻度を人に説明できるか
- 装い:寸法は合っているか。丈と肩幅を測ったのはいつか
- 振る舞い:初対面の相手に、自分から先に話しかけているか
全部に丸がつく人は、まずいません。一つ、はっきり空欄になる場所が出ます。そこが、あなたの努力が漏れている場所です。量を増やす前に、そこを塞ぐ。頑張っていなかったのではなく、効かない場所を頑張っていただけです。
ここが、この進め方のいちばん地味なところです。新しいことを足すより、抜けている一か所を見つけるほうが先。面白くはありませんが、いちばん速い。
変化は、記録した人にしか見えません。
今日やることは一つ。写真を一枚撮る

最後に、今日からできることを一つだけ。今の自分を、正面と横から撮ってください。それが記録の一枚目になります。上手く撮る必要はありません。むしろ、いちばん見たくない状態が写っているほうが、後で効きます。
この話は四つの要素のうち振る舞いに入りますが、扱っているのは全体の順番です。三つの段でいえば、現在地を見極める段から、体と顔を効かせる段へ移るところ。次に読むなら、体の話です。姿勢と、寝る時間の話から入るのがいちばん早い。
